12 Jun 2023
★朽木祥さんの新刊『かげふみ』(光村図書出版)をご紹介します。朽木さんは、被爆二世として今までに広島や原爆についてたくさんの本を書いてこられました。この本は、夏休みに広島のおばあちゃんの家にやってきた現代の少年の目線で物語が進んでいきます。児童館の図書室で出会った少女は、「かげ」について書かれた本を探しているようです。地元の子どもたちといっしょに遊ぶ中、川で見つけた色ガラスやボタン。原爆資料館へ行ったり、おばあちゃんや司書さんから話を聞いたりしているうちに、少しずつあの日につながっていきます。巻末に収録されている「陽炎」は、もしかしたら、教科書に掲載された「たずねびと」でしょうか?
帯には、『ちいちゃんのかげおくり』を書いたあまんきみこさんの言葉が。
★同じ日の今日、作家仲間の中谷詩子さんから「児童文学」の5・6号が届きました。「子どもの文学この一年」の中で、ノンフィクションについて執筆されたのですが、2022年に刊行されたノンフィクションを片っ端から読むというのは、たいへんだったことと思います。その中で中谷さんのアンテナに引っかかった書籍を、短い言葉で端的に紹介してあります。「戦争を生きた人々の物語」、「微生物と付き合っていくには」、「SDGsと多様性」、「共に生きる」の4つに分類されているので、わかりやすいです。
ご紹介した朽木祥さんの『かげふみ』も歴史的事実と作者の経験を基に、主人公を立ち上げて書かれた作品なので、創作でもあっても大きな括りの中では、ノンフィクションにはいるかもしれません。