とんぼの「いろはかるた」 平成十五年度版


   犬はこたつで丸くなる

 ♪犬はよろこび、庭かけまわる
   猫はこたつで丸くなる
それは唱歌の「雪やこんこ」の歌詞。我が家では猫が外をかけまわり、犬がこたつで、丸くなっている。


★ろ
   老婆の休日


最近のおばあさんは、お元気で、かつお忙しい。今日は民謡、あしたはカラオケ、ゲートボールにバス旅行。「ちょっといっぱいも、よろしおますな」というわけで、ローマに休日はあっても老婆に休日はない。で、ますますお元気。けっこうなことです。

★は
    母は怖し、父は疎し

母の愛は海より深く、父の恩は山より高しだと、体感させてやりたい。


★に
    にわにわにわにわとりがいます

漢字で書けば、なんてことはない。庭には二羽にわとりがいます。



★ほ
    ほめられてがんばる

大人だって子どもと同じ。いえ、サルと同じ。ほめられれば木にも登るし、踊りも舞うぞ。

★ヘ
   「変人」は、ほめことば

「変な人」の「変な発想」が、世の中のマンネリを変える。常識人であることが、実に情けない。

  
★と
   止まった古時計が、タイムリー

「おじいさんの古時計」だけではなく、「パパからもらったクラリネット」にもぜひスポットライトをあててよ。ドもレもミもファも……、みんな出ないんだよ。え? パパが元気なうちは、ヒットしないって? じゃあ、当分だめだよね……。
  
★ち
   遅刻の言い訳 

「夕べ、ママが男の人とあっていたからで、なぜ、男の人とあっていたかというと、ぼくのように扱いにくい子どもを抱えているシングルマザーにとって、たまには息ぬきが必要わけで、それはおおむね認めるとしても、ママの帰りが夜更けになると、交通事故に巻き込まれたのではという不安が頭をよぎり……」
先生を前に、五年生の彼の言い訳は、まだまだ続く。
「父親のいないぼくは、いきなり孤児になる可能性もあるわけで、どの施設に入れられるのかとインターネットで深夜まで検索していて、それで、今朝は起きられませんでした」
ごもっとも……なんだが。 


★り
   離婚経験ありの初婚


「三回とも、籍に入ってなかったんです。だから、初婚で〜す」
こだわってませーん、といわれても、こっちがねえ。ご時世なんですかね。



  
★ぬ
    ぬれば色は、いやらしい?

勘違いもはなはだしい。濡れ場ではなく、濡れ羽。「髪はからすの濡れ羽根色」。黒くて艶のある直ぐな髪の毛が、美人の条件だった遠い日。今は漫才師のハイヒールりんごしかいないかも。りんごが美人……? 魅力的な人にはちがいないのですが。
 

     
★る
     留守電は危険

ただいま留守にしております……」。堂々と広く世間に留守を公表しても、いいものだろうか? 「どろぼうさん、今なら留守ですよ、どうぞどうぞ」、とご案内しているようなもの。
留守電はどろ協(泥棒協会)の開発による? 


★お
     おばさん力は、素晴らしきかな

年齢にこだわっておばさんを途中採用しない企業は、大きな損失を受けている。
たとえば、間違い電話がかかってきたとしよう。若い女の子は、「まちがいです」といって切るだけ。ところがおばさんは違う。「どちらへおかけですか? 2982? わざわざおかけくださったのに申し訳ありません、こちらは2983なんですよ。うちはふとん屋なんです。ご用命の節は、ぜひまたお電話ください」ということで、間違い電話でばっちり宣伝。ふとんの一流れや二流れなら売ることだってやりかねない。おばさん力を信じて、不況を乗り切ろう。



★わ
     忘れることで、らんらんらん
 
忘れるからこそ、新しいことが覚えられる。え? 忘れるばかりで、新しいことが覚えられられないって? それは、よかった。だって、最近のニュース、覚えておくには辛いことばかり。
★か
     カスケード解散

ロックバンド「カスケード」が解散した。東京に九州に、四国に名古屋に……おっかけをしていた娘のがっかりすること.。母のわたしのほっとすること。このバンドの魅力は、ボーカルが歌をよく間違える、そこが魅力的ということらしいから、ファンの心理はわからん、わからん。

★よ
     よなべは、もはや死語?

♪母さんは よなべをして……
「ねえねえ、よなべって、どんななべ?」
「ずるい、ママだけおいしいもん食べて」
よなべは、いつしか仕事そのものをさすようになっているが、もともとの意味は、夜食に鍋でもつつきながら、手作業をすることらしい。家族の団欒がそこにあった……。



★た
    たっぷりより、ちょっぴり

 
   
なんでもたっぷりあると、ごうまんになる、ちょっぴりだと幸せになる。
脂肪だってそう。「なによ、今さら」と太りすぎは開き直る。たっぷりあっていいのは、バスタブの湯。でも、胸から上は、心臓に悪い。やっぱり「ちょっぴり」が幸せなのかも。

       
★れ
     レールを歩く

大阪の環状線を、ぐるりと歩いたことがあった。30キロ。電車に乗って、あっという間に通過していた町の不思議をあれこれ発見。感動の一日だった。疲れた体にビールのおいしかったこと!

     
★そ
    
相談は大事

♪ あたろうか、あたろうよ、そうだんしながら歩いてく (たき火)
相手の意見を尊重すれば、けんかはないのよね。わかっているのだけれど……。


★つ
    つまらんことほど、おもしろい

みんなが夢中になっていることにとびつくのでは、ただのミーハー族。だれも振り向かないことに、わくわくしていると思うと、それだけで楽しい。「形容しりとり」が密かなマイブームだったこともあるし、三十三箇所巡りや陰陽道にはまっていたこともある。世間で流行れば、マイブームは去る。
今、絞りたての豆乳と福助さんがマイブーム……。

★ね
   猫の耳に念仏


最近の猫はグルメ。えさ代もけっこうかかる。ある日、我が家の猫どもを集め、一万円札をみせて言い含めた。「こういうものが道に落ちていたら、迷わず拾ってくるのよ」。五匹そろって「にゃーん」と鳴いた。にもかかわらず、一向に気配なし。日銀さん、またたびの匂いのついたお札を発行してくれないかなあ


★な 
    生意気と生煮え

どちらも未熟。生半可という言葉もある。


★ら
    羅漢


子どもの頃、こんな歌をうたって遊んだ。
♪ 羅漢さんがそろたら、回そじゃないか、よいさのよいやさ、よいやさのよいやさ……
掛け声をかけながら、右となり(または左となり)の人の身マネを次々してしていく。羅漢さんが百羅漢のことだとしたら……。京の町らしい味のある遊びだ。

 

  
★む
    虫めがね

わたしなら、「宇宙めがね」とつけたのになあ。   
 
  
★う
    丑三つ時
 
草木も眠るというその時間、わたしは密かに……、パソコン打ってまんねん。 

 
★い
    いなか   

「いなかに帰ってきました」「いなかから送ってきたので」「いなかの習慣です」「なんせ、いなかもんですから」etc いなかのない私は、いなかという響きにあこがれてしまう。


★の
    脳天気

人を和ませる才能も持ち主。最近ではこういう人のことを天然ボケともいう。
  

★お

    大阪のおばさん
    
大阪のおばさんは、着る物一つにしても、見事に自己主張している。(陰の声)ど派手。趣味が悪い。
なにいうてるねん。悔しかったらまねしてみ。どや? ……似合わへんなあ。あんたが着こなすには、まあ、十年早いっちゅうねん。ブランドにあきたら、おいで」

★く
    くわばら くわばら

犬は雷がきらい。猫は全く平気なのに、犬は家の中で震えている。恐怖で雨の中を脱走する犬もいるらしい。それにしても、くわばら方面の犬はかわいそう。

★や
    役に立つ

万事、役に立たないものはない。役に立たないのは、使う人が役立たせないからだ。

★ま
    魔法の言葉

「まあええやん」は、魔法の言葉。「ようやったやないの、あかんかっても、しかたがないやん。こんどおがんばり」。どことのう、やさしい。

★け
    けったいな

「けったいな」は言いえて妙。どんな不可思議なことも、「へえ、けったいやなあ」といえば、納得できる。相手もうなずく。けったいに理由はいらない。けったいな出来事。けったいな人。けったいな噂。けったいな色。けったいな歌。けったいな味……。


★ふ
    風呂敷

風呂敷を愛用している人を二人知っている。一人は音楽家のK子さん。譜面を風呂式に包むとかっこいい。もう一人は写真家のY子さん。好きな布を買ってきて自分で作って使っている。「ほら、こうすると、エプロンにもなるのよ」と教えてくれた。輝いている人だからこそ似合うのかも知れない。

★こ
    こんなんでましたけど……

占い師の融コウランさんの遺した名言だ。人生って、ほんとにそんなところがある。出た目で、勝負しなけばならない。

★え
    映画館

映画館で映画を見るのが好きだ。電話もかかってこないし、気が散らない。大きな画面、体を揺るがす音響……。京都の朝日シネマ館が閉鎖になったことは、私にとって大ショックだ。「アメリ」も「ショコラ」も「あの子をたずねて」もここで観た。「森の学校」も「阿弥陀堂たより」も「アイリス」も、タイトルは忘れたけれど、いっぱいいっぱい商業ペースに乗り切れない映画を観た。そして感動をもらった。まだまだ観たかった。それなのに……。


★て  
    手ぬき

手ぬきは、いうたら手のうちの一つ。手ぬきのこつは、(手ぬきしたな)と思われないように、うまくすること。手ぬきは、ベテラン主婦の必須術。
 

★あ
    あさって
    
娘時代、「あさって」という言葉が好きだった。「あさって」には、現実的な「明日」にはない希望の響きがあるような気がしていた。そのことを詩を書き、ラジオのホームソングの歌詞に採用された遠い日のことを、「あ」を考えていて、思い出した。 

★さ
    蠍座の女

そうです、わたしは蠍座の女。インターネットで寝る前に、蠍座の明日の運勢をチェックする。いい日ならうれしいし、芳しくない日なら気をつければいい。バイオリズムがわかれば、「あかんときは、あかん」ということで割り切れる。あかん日のあとには、かならずいい日が来るから不思議。

★き
    気は心

ボランティアは、いうたら心のおすそわけ。「ほんの気は心ですが……」。差し上げたり、もらったりで、いいおつきあい。


★ゆ
    夢は、いつ開く?

子どもの頃の夢、あきらめたままになっていませんか? 子育てが終わった中年時代こそ、眠っていた夢を再び開かせるそのときなのです。新しい夢を育てるもの、すてき。

★め
    めっけもの

本であれ、グッズであれ、お店であれ、思いがけなくいいものに出会うとうれしい。それがしばらくマイブームになる。人のめっけものもある。人とは長いおつきあいになる。

★み
    身のほど知らず

いいじゃないの。最初はぶかぶかでも、そのうちちゃんと着こなせていくものです。

★し
   主人公

人の一生がお芝居ならば、芝居のクライマックスは、まだこれからだと思いたい。さて、喜劇にするか、ラブロマンでいくか。てへへ。

★ゑ
   エンドレス

終わりがあるから美しい。終わりがあるから感動できる。終わりがあるから一息つける。永遠にというのは、もしかしたら苦行のようなものかもしれない。


★ひ
   ひゃっきん

昨今の百円均一は素晴らしい。先日福引の景品を買いに行った。今年の景品には共通テーマがあって、「ふくのかみ」だった。福の神(七福神グッズ、貯金箱、のし袋)から、服の神(エチケットブラシや毛玉取り)。拭くの紙から、吹くの神(笛、ふうせん)、フックもふくろうも、ぶんふく茶釜の絵本もオーケーということで、またたくうちに50種類の「ふくのかみ」が集まった。百均は素晴らしい。

★も
   木琴

私が子どもの頃は、みんな持っていた。シロホンといっていた。鉄琴というのもあった。下にパイプがついていて、余韻のあるいい音がした。学校にしかなく、その他大勢の木琴にくらべて、ちょっとあこがれだった。木琴、いつのまにピアニーにかわってしまっていたんだろう。 


★せ
    「せっかくですけど……

朽ちるに任せています」。毎日のようにインタホーンがなる。壁の塗り替えのセールスだ。家自体が古くなってきているので、今や壁だけの問題ではない。洗面所、お風呂場、キッチン、収納スペース……。手を加えだすと新築した方が安いかもしれない。が、そんなゆとりはない。で、「朽ちるにまかせています」発言になる。 

★す
    数字に強い人 

小学校の体育館で学年行事があり、いっせいにコンセントを使ったことがある。結果、ブレーカーがあがった。即、「アンペアを計算すればわかるのに」といったお母さんがいた。(ア、アンペア……)。驚きだった。たしかに遠い昔、中学校で習ったけれど、実生活とアンペアが結びつくなんて、考えたこともなかった。ルートや因数分解も、生活に取り入れているのかもしれない。ただただ、尊敬とあこがれ。  
 

★ん
    「ん、とかけ声 おかきぞめ」

小学生のころに遊んだカルタにそう書いてあった。なかなかうまい表現だと思う。「ん」は「うん」とは異なる。それが証拠に、「うんどうかい」は「んどうかい」とは書かない。でも、「うんのつき」は「んのつき」の方が行き詰まっているって感じがするんだけどなあ。